第8回目のリサイタルです。
2025年5月21日(水) 午後7時より 兵庫県立芸術文化センター 小ホール
詳細は、https://www.sopyasuko.net/ こちらをご覧下さい。
皆様のお越しをお待ちしております☆
曲目解説その5
その前に、プログラムの表紙とチラシに使った写真のご説明を!
↑クリックすると大きくなります。
写真の風景は、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンです。
1936年に冬季オリンピックが開催されました。
作曲家リヒャルト・シュトラウスが、その晩年をこの地で過ごし、名誉市民の称号も受けており、街にはリヒャルト・シュトラウス博物館もあります。
また、「モモ」などの代表作で知られるミヒャエル・エンデの出生地でもあります。
毎回、演奏する作曲家や曲目にちなんだ風景を選んでおります(^^)/
では、
R.Strauss シュトラウス (1864-1949)
・「Vier letzte Lieder」 四つの最後の歌 (全曲)
Früling 春
ほの暗い洞窟の中でずっと夢を見ていた
春の木々 青い風
香りや鳥の歌声を・・・
いつかは、この曲集を歌いたいと思っていました。
それこそ、20代のころに!
しかし、曲が余りにも大きすぎるため、なかなか難しいと思っておりました。
そんな事言ってたら、結局歌えずに後悔するハメになる!
と今回挑戦です!
ホント、この1曲目だけで、1ステージ分くらいの体力を使います(^^;
ぜひ、ホールでお聞き下さい。(やっぱり曲目解説になっていない・笑)
September 九月
庭は悲しみ嘆き
雨は花に冷たく降りかかる
静かな終わりに夏が身震いする・・・
夏が終わるという詩に、えらい壮大な曲を付けましたな~
って感じなんですけど、人生の夏が終わり秋を迎えると言う曲なんですね。
まだ、夏が終わって欲しくない!でも、もう秋がやってくる、というのを見事にピアノで表しています。
Beim Schlafengehn 眠りに就くとき
今日は もう疲れた
私の望みは
星降る夜に やさしく
疲れた子供のように 迎えてもらうこと・・・
ここまでの3曲は、H.ヘッセの詩です。
今回はピアノで演奏するのですが、本来オーケストラの曲です。
この曲の間奏で弾かれるヴァイオリンソロのために、この曲があると言っても過言ではない美しいソロがあります。
このピアノ判の伴奏は、連弾の楽譜もあるくらい音がめちゃくちゃ多いのです!
ピアノの楽譜音が多くて真っ黒です(笑)。
リートはピアノと歌のデュオですので、二人のコラボをお聞き下さい!
Im Abendrot 夕映えの中で
苦しい時も 楽しい時も
手に手をとって一緒に歩いてきた
今この静かな土地で
さすらいから休むとしよう・・・
この曲だけ、詩はJ.v.アイヒェンドルフです。
もう、死を受け入れて恐れが無い、死に安らぎすら覚える、
しかしちょっと怖い。でも最後は「Friede」!
Friede は平和と訳されることが多いのですが、この場合はちょっと意味が違うので
「安寧(あんねい)」と訳してみました。
最後の後奏も圧巻です。
2025年5月21日(水) 午後7時より 兵庫県立芸術文化センター 小ホール
第8回 田村靖子ソプラノリサイタル
ぜひぜひ、お越し下さいませ。
曲目解説その4
R.Strauss シュトラウス (1864-1949)
です。
一曲目
・Allerseelen Op.10-8 万霊節
テーブルの上には香りの良いモクセイ草を置き
遅咲きの赤いアスターをこちらへ持って来よう
そして再び愛を語り合おう
かつての五月のように・・・
H.v.ギルムの詩です。
万霊節は、日本で言うお盆のような感じで、
死者の魂が帰ってくると言われています。
11月1日がその日にあたります。
「かつての五月のように」という歌詞があるので選んでみましたが、
万霊節は11月でした(^^;
・Schlagende Herzen Op.29-2 ときめく心
草原を野原を一人の少年が行く
ドキドキ 彼の胸は躍っていた
指には金の指輪が輝く
ドキドキ 彼の胸は躍っていた・・・
草原と野原の間にひとりの女の子が立っていた
ドキドキ 彼女の胸は躍っていた・・・
O.J.ビーアバウムの詩です。
最初に男の子の視点で歌い、後半が女の子の視点で歌います。
大好きなあの娘に会いに行くのに、ドキドキしている様子をR.シュトラウスは、
見事に音楽にしています。
細かいことを言えば、ここで転調して、ここでこの調になって表現して
ってことなのですが、音楽理論を知らなくても、聞いてもらえば、きっとわかると思います!
(やはり解説になってない・笑)
・Die Zeitlose Op.10-7 イヌサフラン
刈り取られたばかりの牧草地に
イヌサフランが孤独に咲いている・・・
・・・最後の花 最後の愛 どちらも美しい
だが命取りとなる
こちらも、H.v.ギルムの詩。
最初は、おだやかでのどかな風景を歌っているのですが、、、
イヌサフランには毒があるんですね~
お~怖い!!!
最後の睨みを効かせすぎで、付け睫毛が外れかけたことがあります(笑)。
・Morgen! Op.27-4 明日
そして 明日 再び太陽が輝くでしょう
そして 私は その道を行くでしょう
幸せな私たちを この太陽が息づく
地上で再び一つにしてくれるでしょう・・・
ジョン マッケイの詩
本当に美しいんですよ~!特にピアノが!!!
訳に「そして」が多いのですが、原詩に「und」が多いからなのです!
なのに、詩としても美しい~
この曲で静かに、後半の前半(ややこしい・笑)は終了です。
曲目解説その5はコチラ
曲目解説その3
平井 康三郎筰 (1886-1965)
「日本の笛」より
10曲抜粋して歌います。
詩はすべて北原白秋
北原白秋の同名の詩集の中から21編を平井康三郎が選び、
昭和18年ごろに作曲されたものです。
前書きより「日本の笛の中の詩は、わが国土の北から南へと広がる豊かな民族の詩であり、
私たちの祖先が生活したそれぞれの土地の気候、風土、人情が、
いきいきと描き出された珠玉の名作で、
ここにこそ本当の日本民族の『魂のふるさと』を見出すことかできる。」
とありますように色々な地域の歌を歌います。
・親船小舟
沖の大船
ありゃ 親船よ
見やれ ゆさりとも
帆は揺れぬ
おいら 小伝馬
まだ親がかり
いろのろの字の
櫓も持たぬ
神奈川県三浦岬あたりの漁村の風景
小伝馬船とは荷物を運んで親船と岸の間を往復する小舟の事です。
・浪の音
山で大鋸挽きゃ
日かげの長さ
浪の音聴きゃ
日の永さ
浪の音聴きゃ
まだ日は永い
山は辛夷の
花ざかり
あれは鷗か
日和の海か
山は檜の
昼の霧
山に日暮れて
ひもじい時は
沖の大船
見て下る
こちらも同じく神奈川県三浦岬あたりの風景
大鋸(おが)というのは木を切る「大のこぎり」のことで、
のどかな日和を歌っています。
・ぬしは牛飼い
ぬしは牛飼
笛吹き上手
いつも横目に
見て通る
みやれ 水甕
黄八丈の羽織
わたしゃ 頭も
濡らしゃせぬ
こちらは、伊豆 八丈島での生活の風景
自分たちの気を魅こうと
流し目をしている牛飼いの若者をからかう
八丈島の娘たちの歌です。
「ぬし」は、あなたという敬意を込めた二人称ですが、
ここでは「あんた」という程度の軽い調子で用いられています。
・びいでびいで
びいでびいでの
今 花盛り
紅いかんざし
暁けの霧
びいでびいでの
あの花かげで
何とお仰った
末かけた
ここからは、小笠原諸島での歌が続きます。
びいでびいで とは ブーゲンビリアの事です。
末かけた とは 「末は夫婦にと誓った」の意味で
同じメロディーを繰り返すのですが、2回目は
「誓ったのに・・・」という思いが混じった歌です。
・関守
パパヤが咲いたかやと
そっと寄っていたら
山羊が見つけた
角立てた
明けの山椒の実を
そっと出て嚙めば
瑠璃鳥が見つけた
声立てた
関守とは関所を守る番人の事で、
この歌の解釈は色々あるのですが、私は素直に、
山羊や瑠璃は可愛い山の番人(関守)たちで、
パパイヤの花や、山椒の実を守っている!と歌います。
・追分
誰が吹くのか 月夜の島に
ひとり ほそぼそ 一節切
椰子の花咲く 南の夏に
忍路高島 北の雪
一節切(ひとよぎり)とは、長さ一尺一寸一分(約34cm)の一節五孔の尺八の一種です。
ここ小笠原諸島では椰子の花も咲いているのに、
この一節切の主の吹く、追分のうたわれる北海道 忍路高島(おしょろたかしま)あたりでは、
雪が降りしきっているのでしょう。
・夏の宵月
月の円さよ
今宵の明さ
護謨の葉越しの
燈の青さ
島は宵月
宵からおじゃれ
かわい独木舟で
早よおじゃれ
今は宵月
夜ふけておじゃれ
浜はタマナの
花ざかり
忍び忍ばれ
夜ふけて来たが
今ぢゃ宵月
昼の虹
うって変わって、明るい微笑ましい恋の詩です。
おじゃれ とは 「いらっしゃい」「おいで」という意味です。
娘は、ちょっと離れた島にでも住んでいるのでしょう。
前奏のピアノは、ギターのようで、セレナーデを想像させます。
前半2部のブラームスでもセレナーデが出て参りました!
・くるくるからから
風にくるくる
測候所の風見
島の日永の日は小さい
くるくる
風にからから
椰子の実の殻よ
島の日永の日は高い
からから
今でも小笠原に気象観測所はありますが、
昔も測候所があって、屋根に風見鶏があったのでしょうね。
のどかな島の風景を歌います。
・伊那
信州 伊那の谷
木瓜の花盛り
春蚕かえそか
婿とろか
伊那は夕焼
高遠は小焼
明日は日和か
繭売ろか
桑の夜霜に
ちらつく星は
夫婦星かよ
まだ明けぬ
これまで続いてきた南国の風物の詩と一変して、
信州などの寒い地方を舞台にした作品になります。
伊那には高校時代の友達が住んでおりまして、
よくスノーボードに行きました!
伊那や高遠は高速を走っていると目にする地名で、
北原白秋はスノーボードをしに、伊那を通って八方尾根に行っているソプラノ歌手が、
自分の詩が大好きで歌うことになると想像していたでしょうか?(笑)
・山は雪かよ
山は雪かよ
大寒小寒
飛んで 飛んで来た
豆小僧
寒い筈だよ
北山おろし
逃げて 逃げて来た
豆うさぎ
寒そうです!ピアノが凄いです!
ぜひホールでお聞き下さい!!!
(やっぱり解説になってない・笑)
解説の大部分は、
「日本歌曲百選 詩の分析と解釈 Ⅱ」より抜粋しました。
曲目解説その4はコチラ
曲目解説その2
J.Brahms ブラームス (1833-1897)
です!
・Wiegenlied Op.49-4 子守歌
こんばんは おやすみなさい
贈られたバラと
ナデシコを飾り
布団の中へお入りなさい・・・
有名な曲ですね!
え?1曲目で子守歌?
と言われそうですが、曲の構成からこの順番が良いと思います(^^)/
この詩は、1番は『子供の魔法の角笛』民謡詩集より
2番はG.ジェーラーで、
「子供はこのまま目が覚めない」と言う怖い解釈と、
ブラームスは友達の子供にこの曲を贈っているので、単に子守歌だ!という解釈があります。
私は単純に子守歌解釈で歌いますが、怖い解釈のCDもなかなか面白いですよ!
・Vergebliches Ständchen Op.84-4 甲斐なきセレナーデ
(彼)
こんばんは愛しい人
こんばんは可愛い人
君が恋しくてやって来たよ
さあ 扉を開けておくれ!
(彼女)
扉には鍵がかかってて
あんたは入れないわ・・・
この詩の作者は不明です。昔ながらの民謡ですね!
さあ、彼は甲斐が無いセレナーデを歌って中に入れるのでしょうか!?
続きは、ホールでお聞き下さい!(やっぱり曲目解説になってない・笑)
・Unbewegte laue Luft Op.57-8 なまぬるい風はじっとして
なまぬるい風はじっとして
自然の深い静寂に
静かな夜の庭を抜け
噴水だけが音を立てている・・・
ここまでは、本当に静かに音楽が流れます、
G.F.ダウマーの詩で、この後、熱く語りかけます!
ピアノもとてもスゴイです!!!
ぜひ会場でお聞き下さい!
・Ständchen Op.106-1 セレナーデ
月は山の上にかかり
恋人たちには好都合
庭園では噴水がさらさらと流れ
そのほかは あたり一面 静まり返っている・・・
F.クーグラーの詩です。
ブラームスの曲順は、3曲目と4曲目を逆にしようか迷ったのですが、
この曲はとってもエレガントでオシャレなんです。
なので、敢えてこの曲順にしてみました!
良い効果が出ると思います☆
ぜひ、会場でお聞き下さいね~
曲目解説その3はコチラ
曲目解説その1
5月21日(水)は、
「第8回 田村靖子ソプラノリサイタル」
です!
↑クリックすると大きくなります。
2025年5月21日(水) 午後7時より 兵庫県立芸術文化センター 小ホール
もう、8回目か~しみじみ~
でも、なかなか慣れるものではありません!
では、恒例の、曲目解説になってない、曲目解説いきましょ~(笑)
前半は3部構成になっていまして、
まずはじめは
G.Fauré フォーレ (1845-1924)
です!
1曲目は
・Le papillon et la fleur Op.1-1 蝶と花
哀れな花は空の蝶に言いました、
遠くへ行かないで!
私たちの運命は違うので
私はとどまり あなたは行ってしまう!・・・
この曲は、作品番号1 で、
彼がまだニーデルメイエ宗教音楽学校の学生だったころの作品。
学校の食堂で作曲し、この曲を初めて口ずさんでくれたのが、その時教師をしていた、サン=サーンスだったそうです!
詩はヴィクトル・ユゴー
まだ初々しい作風です。
2曲目は
・Mai Op.1-2 五月
五月になって 草原に咲き誇る花々が
僕たちを呼んでいる だから
おいで! 君に心惹かれる
田園や森 すてきな木陰
川のほとりに広がる月の光・・・
こちらも作品番号1で、
詩は同じくヴィクトル・ユゴー、初々しい作風です。
どんなのかは、来て聞いてね!
(やっぱり曲目解説になってない・笑)
3曲目は
・Après un rêve Op.7-1 夢の後に
あなたの魅力的な姿が誘った眠りの中
私は蜃気楼が燃えるような幸せな夢を見ていた
あなたの目はとても穏やかで、声は澄み響いていた・・・
ロマン・ビュシーヌの詩で、有名な曲ですね。
詩の内容は、美しい夢を見たのに、目覚めてしまって悲しいという内容です。
作曲された前年にマリアンヌ・ヴィアルド嬢との婚約解消で傷心のフォーレに共鳴する内容だったのでしょう。
感傷的で情熱的な曲です!
4曲目
・Ici-Bas Op8-3 この世では
この世では リラの花がすべて枯れてしまい
鳥のさえずりが短くなっても
いつまでも続く夏を私は夢見ている・・・
A.シュリ・プリュドムの詩で、
とても単純であるのに美しい、フォーレならではの作品です。
5曲目
・Clair de lune Op.46-2 月の光
あなたの魂は選ばれた景色
魅力的なマスクとベルガマスクで
リュートを奏で踊り
気まぐれな仮面の下で悲しみを漂わせている・・・
こちらも有名な曲、ポル・ヴェルレーヌの詩です。
ピアノがソロ曲と思えるくらい美しい曲です。
解説は「フォーレとその歌曲」河本喜介氏著より抜粋させて頂きました。
美しい曲ばかりです!ぜひ会場でお聞き下さい~
曲目解説その2はコチラ