6月4日のプログラムできあがって届きました~。
準備は着々と進んでいます!
今日は、リストの歌詞を紹介したいと思います!
ラインの美しい流れ Im Rhein, im schoenen Strome S.272
詩:ハイネ
ラインの美しい流れ
その波間に映るのは
厳かなる
大聖堂ケルン。
大聖堂には
金色の皮に描かれた肖像画があり、
私の荒れすさんだ人生を
やさしく照らしてくれた。
花と天使にまわりを囲まれた
聖母マリア
その瞳、その唇、その頬は
私の愛する人とよく似ている。
この詩は、シューマンの Dichterliebe (詩人の恋)の六曲目と同じです。
schoenen が heiligen に変わっていますが。
しかし、曲調はまったく違いますよ。
こちらリストの方は、ライン川のキラキラした様子の明るい美しい曲、
一方シューマンは、恋に破れて恨みがましくライン川を見ているような曲。
同じ詩でも作曲者によって全然違いますね~。
美しい詩には、たくさんの作曲家が美しい曲をつけます!
きっと素晴らしいことでしょう Es mus ein Wunderbares sein S.314
詩:O.v.レトヴィツ
きっと素晴らしいことでしょう
二つの魂が愛し合い
お互いに包まれて
ただ一つの言葉もつつみ隠さず
喜びと悩み、幸せと苦しみを
共に抱え
初めての口づけから死の時まで
愛だけに生きることは。
ものすっごく意訳してます(笑)。
最後の
sich nur von Liebe sagen.
って歌詞の意味は、直訳すると「愛だけを話すことは」
ってなるんですが、まったく意味が通らない(^_^;)
で、ドイツ語の先生に相談したら、
これはきっとドイツ人は「entsagen」を連想するよ!
と助言してくれました。
entsagen は諦めるとか放棄するという意味です。
てな訳で、本人は納得の意訳です(笑)。
三人のジプシー Die drei Zigeuner S.320
詩:N.レーナウ
ある時、牧草地に寝そべる
三人のジプシーを目にした。
私の馬車がひどく疲れて
砂だらけの荒れ野を通り過ぎる時に。
一人目は、ただ一人で
ヴァイオリンを持ち
夕陽の光に包まれて
陽気な曲を奏でていた。
二人目は、パイプを口にくわえて
その煙に目をやっていた。
・・・・・
三人目は、気持ち良さそうに寝ていた。
・・・・・
彼の心を夢が行きかう。
三人の着ている服は
穴が開いて継ぎはぎだらけだった。
しかし、彼らは、自由気ままに
この世の運命を嘲笑っているようだ。
彼らは三者三様に見せてくれた
人生の暗がりでは
いかに眠り、煙草をふかし、音楽を奏で、
人生を笑い飛ばすのかを。
ピアノがリストらしい派手な曲です。
通作歌曲は長くても覚えやすいからいいよね(笑)。
ああ、愛せるだけ愛せよ(愛の夢) O lieb, so lang du lieben kannst S.298
詩:F.フライリヒラート
ああ、愛せるだけ愛せよ、
ああ、愛したいだけ愛せよ!
その時は来る
お前が墓の前に立って嘆く時が。
お前の心が燃えるように努め、
愛を育み、愛を保ち、
そうして愛するもう一つの心へ
暖かく通い合うように気を付けなさい。
・・・・・
そして言葉に気をつけなさい。
やがて、悪い言葉を言ってしまう。
ああ神様、酷い事を言いたい訳ではなかった!
だが相手は去って行き嘆くことになるのです。
この歌曲は後に、リストがピアノ曲「愛の夢」の第三番として作り直します。
浅田真央ちゃんが、2011-2012シーズンにフリースケーティングで使っていたので、一般の方も良くご存知かと思います。
この F.フライリヒラートの詩は、まだまだ続きます。
リストはここまでしか作曲していませんが、
「彼はもう二度と話さない」とか「彼は墓の中で」とか
ブラームスならもっとおどろおどろした曲をつけそうな歌詞です(笑)。
次回は、二重唱をご紹介します!!