曲目解説_その3

曲目解説の続き

後半はマーラーです。

なんと、8曲 約35分一気に歌います!

長い道のりです(笑)。

マーラー Gustav Mahler (1860-1911)

「子供の魔法の角笛」より aus “Des Knaben Wunderhorn”

アヒム・フォン・アルニム(Achim von Arnim)とクレメンス・ブレンターノ(Clemens Brentano) が収集したドイツの民衆歌謡の詩集で、ドイツのマザー・グースとも呼ばれています。

昔の言葉なので、辞書に載っていなかったり、今と綴字や発音が違うものがあって、なかなか覚えにくかった!

まず、1曲目

誰がこの小唄を思いついたの? Wer hat dies Liedlein erdacht?

あそこの山の上の背の高い家で
綺麗な女の子が覗いている
あそこは あの子の家じゃない
あの子は宿屋の主人の娘
緑の原野に住んでいる

・・・

誰がこの美しい小唄を思いついたのだろう
三羽のガチョウが水を渡って運んで来たんだ
二羽は灰色で 一羽が白色
そして この小唄を歌うことができない人には
ガチョウが鳴いて教えてくれるんだ

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

話に脈絡が無いのですが、どうやら3つの物語を合わせたようなのです。

音楽が昔話っぽくて、面白いですよ。
ぜひ、会場でお聞き下さい。
(やっぱり曲目解説になってない・笑)

2曲目

夏の交代 Ablösung im Sommer


カッコウが落ちて死んじゃった
緑の柳の元で
カッコウが死んじゃった!カッコウが死んじゃった!
落ちて死んじゃった!

いったい誰が夏の間
僕らを楽しませてくれるの?

・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

an einer grünen Weiden!

という歌詞なのですが、直訳すると
「緑の柳に落ちて」となります。

柳から落ちたんじゃなくて、柳に落ちた???

他に色々な訳を見てみると
「柳の穴に落ちて」
とかあったのですが、それも意訳すぎるな~と思い、上記にしました!

夏になると、カッコウから小夜鳴き鳥に変わります。

カッコウは歌が下手な鳥の象徴で、
小夜鳴き鳥は歌が上手な鳥の象徴なんです。

面白い歌ですよ!

3曲目

ラインの伝説 Rheinlegendchen


ある時はネッカー川で草を刈り
ある時はライン川で草を刈り
ある時は恋人と一緒だったり
ある時はひとりぼっちだったり

草刈りが何の役に立つの
鎌が切れない時に
恋人に何の価値があるの
私と一緒に居ないのなら

一人で草を刈らなきゃならないのなら
ネッカー川やライン川のほとりで
私の金の指輪を
川へ投げ込んでやるわ
・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

こちらも可愛い歌です。

さあ、指輪を川へ投げ込んで、その後どうなるでしょうか~

続きは会場で聞いてね(笑)。

続きは明日!

曲目解説_その2

曲目解説続き

1部の後半です。

團伊玖磨(1924-2001)
「六つの子供の歌」

2回目のリサイタルでも歌いましたが、今回また歌うことにしました。

詩は北原白秋です。

白秋の詩が大好きです。

歌詞を掲載しておきます!

いたち

あかい 手拭
あねさまかぶり
鼬見つけた
ちらりと見えた

蓬 菜の花
横路 小路
鼬かくれた
ちらりときえた

子供 この道
横 ゆく鼬
手ん手はなすな
ひとりは こわい

へうたん(ひょうたん)

へうたん
へうたん
花咲け へうたん
あらへう ふらへう
(あらひょう)(ふらひょう)

へうたん
へうたん
棚から へうたん
あらへう ふらへう

へうたん
へうたん
千成り へうたん
あらへう ふらへう

へうたん
へうたん
ゆれゆれ へうたん
あらへう ふらへう

へうたん
へうたん
月夜に へうたん
あらへう ふらへう

秋の野

あの子が ゆくよ
見たよな あの子
おんなじ 道を
おんなじ 方へ

誰だろ あの子
ちひさな あの子
わたしの 前を
わたしの やうに

あの子が ゆくよ
髪の毛が ひかる
野の道 小径
もう日は 暮れる

はぐれな あの子
見たよな あの子
お月さま 出たに
ほういと 呼ぼよ

さより

サヨリは うすい
サヨリは ほそい
ぎんのうを サヨリ
きらりと ひかれ

つきよの かはに
だれだれ でてる
さざなみ こなみ
ちらりと ひかれ

サヨリ のうちは
まみづか しほか
つめたい サヨリ
みづのたま はけよ

サヨリは うすい
サヨリは ほそい
ぎんのうを サヨリ
おねえさまに にてる

からりこ

からりこと
音が してるよ
からりこは
下の 谷間よ
からりこの
窓は 日和よ
からりこよ
菊の さかりよ

からりこと
筬が はづむよ
からりこと
こだましてるよ
からりこよ
誰か みえたよ
からりこの
音が やんだよ

雪女

吹雪の 晩に
呼ぶのは 誰だ
曠野の をんな
夜ふけの をんな
遠くて 近い
白くて 青い
吹雪の 中に
ほら また 呼んだ
おねんね ぼうや
もう夜が ふかい

ドイツリートが油絵なら、日本歌曲は水彩画のような感じ。

「さより」とかは、墨絵のような歌です。

リサイタルには、必ず日本語の歌を入れるようにしています!

曲目解説_その1

11月に入りました!

11月13日(日)は
田村靖子ソプラノリサイタル
です!

まだまだ、チケットあります。

ぜひお越し下さいませ~

では、1部から曲目解説を!

まずは、
ベルリオーズ Hector Berlioz (1803-1869)

歌曲集「夏の夜」より Extrait de “Les nuits d’été” op.7

テオフィル・ゴーティエ 詩 の6曲からなる歌曲集で、
今回はその中から4曲を歌います。

ヴィラネル Villanelle


新しい季節が訪れ
寒くなくなったら
森へスズランを摘みに
二人で出掛けよう 愛しい人

僕たちの足元に
朝に揺らめく真珠のような滴が
連なっているのが見える
ツグミのさえずりを聞きに行こう

・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

幕開けにふさわしい、華やかな曲です。

元々はオーケストラの伴奏をピアノに書き換えたものですが、
ピアノの長谷智子さんが、オケのように弾いてくれます。

恋人と春になって出掛けていく様子が、なんとも美しいです。

ぜひ、会場でお聞き下さい。

(例によって曲目解説になってない・笑)

2曲目は
バラの幽霊 Le spectre de la rose


・・・
私はバラの幽霊
あなたが昨日 舞踏会でつけていたバラなの
じょうろから落ちる銀の涙の
しずくに覆われていた私を取り
星空のパーティーの中で
あなたは私を一晩中連れ歩いたのよ

私が死んだのはあなたのせい
あなたは追い払うことができない
毎晩 バラの幽霊は
あなたの枕もとに来て踊るのよ
でも怖がることは無いわ 私は何も求めない
ミサも哀悼歌もいらないわ
・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

プログラムに「幽霊」という文字を載せるのに、最初は抵抗があったのですが、
(私、オバケ嫌い)
しっかりと歌詞を訳すと、大真面目なのに、なんだか面白くて可愛くて
やはり「幽霊」が良いなと思って選びました。

チラシには、「バラの精」と載せたのですがね~

この曲も美しいメロディーとピアノです。

バラの幽霊が、あなたの胸で死ねて幸せだったと、美しく語る曲です。

君なくして Absence

戻ってきて 戻ってきて最愛の人
太陽から離れた花のように
私の人生の花は閉じています
あなたのバラ色の微笑から離れてしまって
・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

こちらは、うってかわって、
愛する人に去られてしまった思いを歌います。

ヨーロッパ人って、失恋も大げさですよね~

日本人のさめざめと泣く感じではなくて、
私は悲しんでいるのーーーと主張しています。

でも、やはり美しい曲です。

知られざる島 L’île inconnue

ねえ 美しい娘さん
どこへ行きたい?
帆が翼を膨らませ
心地よい風が吹く!

象牙のオール
モアレの旗
上質な黄金の舵
錘にはオレンジ
帆は天使の羽
水夫は熾天使
・・・

続きは当日のパンフレットをご覧下さい

こちらは、終曲。
1曲目とは違った華やかさがあります。

美しい娘に、どこに行きたい?
舟で連れて行ってあげると歌う曲です。

ピアノが波に揺られている感じで、とても綺麗です。

さあ、娘さんはどこへ行きたいと言うのでしょうか?

会場でで聞いてね(笑)。

次は、1部の後半

團伊玖磨の「六つの子供の歌」です!