曲目解説_Wolf その2

Wolfの続きです。

4 Nr.11 Wie lange schon war immer mein Verlangen  

どれほど長い間待ち望んだでしょう、
ああ、音楽家の恋人が居てくれたらいいのに!
神様は私の望みを叶えてくれるって。
はつらつとした方をよこして下さるって。
ちょうど今ここへ来るわ、優しそうではあるわね。
うつむいて、ヴァイオリンを演奏しているわ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

Wolfならでは!面白い曲です。

神様にお願いしたら、素敵な音楽家がやってきた!!
あれ?なんか思ってたのと違う・・・
優しそうではあるけれど・・・あれ~?

しかもヴァイオリンめちゃ下手やし

下手~なヴァイオリンは、曲の後奏でピアノが弾いてくれます!

あれ~?あれ~?

と歌っています(笑)。

5 Nr.16 Ihr jungen Leute,die ihr zieht ins Feld    

戦場へ向かう若い人たち、
私の恋人に注意を払ってちょうだいな。
戦いの中で勇敢に立ち向かえるよう気遣って下さいね。
彼は今までの人生で合戦に出たことが無いのですもの。
野外で寝かしたりしないでね、
とっても繊細だから、参ってしまうわ。
月の下で寝かしたりしないでちょうだい、
彼は慣れていないから、くたばってしまうわ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

カワイイ彼氏が戦場へ行くのを心配している様子です。

昔の戦国時代の合戦をイメージしました。

庶民の古い民謡や民話を集めた曲集ならではですね!

6 Nr.19 Wir haben beide lange Zeit geschwiegen    

私たちは長い間黙っていました。
突然に言葉がまた戻って来たのです。
天使たちが空から訪れて
諍いのあとに平和を再びもたらしてくれました。
神の天使たちが舞い降りて、
平和と共にそっと入ってきました。
愛すべき天使は、夜のうちに来てくれて
私の胸に平和をもたらしたのです。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

これは、打って変わって壮大な感じの曲です!

合わせをしている時に長谷さんからアドヴァイスされました。

「シンフォニーホールで歌ってるつもりで演奏してみて!」

ヴォルフは時々このような、ワーグナー的な音楽があるんですね~。

7 Nr.24 Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr    

もう私は乾いた(涙に濡れない)パンを食べることはないでしょう、
トゲが私の足に刺さってしまいました。
むだに四方を見回してみても
私を愛してくれる人は見当たりません。
どんな年よりでも小男でもいいわ、
少しでも私を愛して敬ってくれる人はいないかしら。
つまり私が考えてるのは、姿の良い、
立派な老人、ほぼ私と同い年、
全部打ち明けちゃうと、
年をとった小男っていうのはね、14歳なのよ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

まあ、おませな14歳(笑)。

イタリア人の14歳は日本人だと20歳くらいの見た目でしょうか?

つまり、年寄りでもなんでも良いと言いながら、
同い年の素敵な人が良いんですね(笑)。

最後のオチでは、ぜひ会場で笑って下さい!

今回は、このWolfだけ、プロジェクターで字幕を出します!

話の展開が早いし、曲も短いので、お手元のプログラムだけではどこを歌っているのかわからないと思うので!

初めての試みです!!!

曲目解説_三善晃 その2

今回は、曲数が多いのに短い曲ばかりなので、分数が少ない!

てな訳で、日本の歌は「四つの秋の歌」以外に、聞きやすい曲をあと2曲歌います。

こちらも「四つの秋の歌」と同じ1963年に高田敏子さんによって作詞された

秋の風

かぜ かぜ かぜ
すずしい かぜ
どこから きたの?
とおい きたの くにから
うみを わたって きたよ
やまを こえて きたよ
そして それから
あかとんぼに のって きたよ

かぜ かぜ かぜ
あきの かぜ
なにして あそぶ?
みのむしと ぶらんこ
おちばと かけっこよ
こすもすと おはなし
そして それから
りんごの みも たべたいな

最後は三善晃ご本人作詩で、1975年に作られた

栗の実

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつは海へ行った 青い海
そうして 貝になったとさ

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつは空を飛んだ 青い空
そうして 雲になったとさ

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつはどこへ行った 見えないな
三年たったら 芽を出した

栗の実
栗の木になったとさ

この栗の実が歌いたくて、三善晃を選んだのですが、歌うのが難しい、、、

でも聞く分には、美しい秋の魅力満載の曲です。

日本の歌は、四季のレパートリーが豊富で美しいです!

ドイツリートは、圧倒的に春の歌が多く、
秋や冬の曲なんて、陰々滅々としたものばかりなんですよ、本当に!

ぜひ、秋のひと時をリサイタル会場にてお楽しみ下さい!!

曲目解説_三善晃 その1

今回のリサイタルで、日本語の歌は三善晃を歌います。

リサイタルでは、必ず日本語の歌を入れるようにしているんですよ。

日本の歌は、四季すべての歌が揃っていますから、その季節にあったものを歌うようにしています!

てな訳で、今回は「秋」です。

高田 敏子 作詩「四つの秋の歌」

これは1963年に作られました。

後に、女声合唱のための「四つの秋の歌」が編曲されて、1971年に発表されましたが、
独唱曲の方が先だったんですね~

夏休みを積みこんで
汽車は行ってしまった
がらんとした駅のホームには
カンナの花ばかりが赤く
少女は耳をすまして
次に運ばれてくるものを待っている

山すそのあたりに汽笛が鳴り
新しい季節が近づいてきた

少女たちは いつもこうして
何かを待ちつづける

忘れられた海

砂浜は
その面影をとりもどし
海は いま
青の色を深めている
すてられた麦わら帽子も
やがて波が洗い
沖へながれてゆくだろう

オフィスの窓辺で
小麦色の腕が
タイプをたたいている
あなたは しらない
あの麦わら帽子に
かもめの親子が
羽をやすめていることなど

林のなか

少女よ
あなたの隣には
だれもいない
けれど私には見えるのです

旅装をといたばかりの「秋」が
あなたのスケッチブックを
のぞいているのが・・・・・・

そして
あなたのハミングの
「赤とんぼ」をききながら
ここでしばらくやすんでいるのが・・・・・・

枯れ葉

枯れ葉が鳴っている
ほんの少しの風にもゆれて
ささやきあっている

でも こんなひそやかな会話に
耳をすますのは
早すぎる月日の流れに気づく
おとなたちだけだ

子供は枯れ葉をふんで
ドングリを集める
冬にかたむく日に
ほおをほてらせながら

ポケットをいっぱいにする
まわれ! ドングリのコマ

三善晃にしては、聞きやすい曲を選びましたが、まーーーピアノが難しい!!!

長谷さんごめんなさい(^_^;)

でも、さすがです、弾きこなしてくれています。

ぜひ、会場でお聞き下さい!!

曲目解説_フォーレ その2

リサイタルは来週土曜日です!!

ぜひお越し下さいませ~

さて、フォーレの後半です。

四曲目

Tristesse

テオフィル・ゴディエ作詞「悲しみ」

四月がめぐり来て
初めてのバラが
五分咲きで
初めての日の光に笑いかける。
幸せな大地は
喜びで満たし、花開き
すべてを愛し、すべてを楽しむ。

ああ!私の心の中は深い悲しみでいっぱいだ。

・・・・・・

私、私はもう何にも想いを寄せることはない。
男にも、女にも、
私の体、私の魂、
年老いた私の犬にさえも。
人々に掘るように伝えに行ってくれないか、
色褪せた芝生の下に
名前の無い墓穴を。

ああ!私の心の中は深い悲しみでいっぱいだ。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

4番まである有節歌曲です!

まあ、ずっと嘆いている。
何がそんなに悲しいんだろう!!??

あ、失恋したんですが、、、そうですか、、、

と思っていては、フランス歌曲は歌えません(笑)。

失恋はこの世の終わり!くらいに思って大袈裟に嘆き悲しむくらいが丁度よい音楽です。

本当に美しいフランス音楽ですよ~

五曲目

Clair de lune

ポル・ヴェルレーヌ作詞の「月の光」

こちらはお聞きになった方も多いのではないでしょうか!

ピアノと歌がまったく違う音楽を奏でているのに、絡み合って美しい。

まさにフランス音楽ですね~

フランス語にはアクセントが無いのでできるのだと思います。

ドイツ語だとこうはいかない!

あなたの魂は選ばれた景色、
魅力的なマスクとベルガマスクで
リュートを奏で、踊り、
気まぐれな仮面の下で悲しみを漂わせている。

恋の勝者と幸運な人生を
短調の調べに乗せて歌い、
それらの幸せは薄っぺらなままに
その歌は月の光にまざりあう。

悲しく美しい月の光、
木々の鳥たちに夢を見させ、
大理石の彫刻の間の瀟洒な噴水を、
うっとりとさせて、涙を誘う。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

美しい!!!

ぜひ会場でお聞き下さい!

曲目解説になっていない(笑)。

終曲

Après un rêve

ロマン・ビュシーヌ作詞「夢のあとに」

あなたの魅力的な姿が誘った眠りの中
私は蜃気楼が燃えるような幸せな夢を見ていた
あなたの目はとても穏やかで、声は澄み響いていた
朝陽に照らされた空のように、あなたは輝いていた

あなたは私を呼び、私は大地を離れた
光の方へとあなたと共に逃げるために
空は私たちのために雲を切り開いた
未知の華々しさ、神々しい光が垣間見えた

ああ、悲しき夢の目覚め
私はあなたを呼ぶ、おお夜よ私に返しておくれ、あなたの幻影を
戻っておくれ、輝きよ
戻っておくれ、おお神秘的な夜よ

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

こちらは、前奏が一小節。
でも、いきなり美しいメロディーです。

フォーレは美しいですね~。

ぜひ会場でお聞き下さいませ!!!!

次は三善晃です!

曲目解説_フォーレ その1

いよいよ近づいて参りました!!

10月26日(土) 田村靖子ソプラノリサイタル

あと10日後です!!!!

前半は、Gabriel Fauré フォーレの歌曲から始まります。

Le papillon et la fleur

ヴィクトール・ユゴー作詞の「蝶と花」

これは、Op.1-1
つまり、フォーレが初めて作曲した歌曲です。

もちろん、Op.とは作品番号ですので、作った曲順でないことも多いですが、
この曲は初めての曲であると、書物にも記されています。

哀れな花は空の蝶に言いました、
遠くへ行かないで!
私たちの運命は違うので
私はとどまり、あなたは行ってしまう!

・・・・・

でも、ああ!風があなたを連れ去り
私は大地に囚われる、非情な運命!

・・・・・

ああ、私たちの愛が誠実に
日々を過ごせたら、我が君!
私のように根をおろすか、
私に翼を与えて下さい、あなたのように!

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

とても軽やかで可愛らしい曲ですが、内容は「行かないで~」と何ともドロドロした歌です!

フランスらしい小粋な感じの曲ですよ。

二曲目は、しっとりと愛しい人への思いを歌う

Lydia

ルコント・ドゥ・リール作詞の「リディア」

リディア、おまえのバラの頬、
清楚な白いうなじの上
ほどけた金色の
きらめく巻き髪が流れる。

もっとも素晴らしく輝くこの日、

・・・・・

秘められたユリは神聖な香りを
おまえの胸に振りまき続ける。

・・・・・

リディアよ、私に生命を返しておくれ、
私がいつでも魂を奪われるように!

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

このしっとり感は、フランス音楽ならでは!

三曲目は、これまた甘い甘い歌詞の

Au bord de l’eau

シュリー・プリュドム作詞「水のほとりに」


二人一緒に川の流れの縁に座り、
流れを見る
二人一緒に空の滑りゆく雲を、
滑りゆくのを見る
地平線の藁ぶき屋根から上る煙を、
煙が出るのを見る
あたりを花が香りで満たせば、
香りに包まれる

・・・・・

嫌気のさすようなすべての物にも二人ならば、
嫌気はささず
過ぎゆくものすべての前でも、
二人の愛は過ぎゆかず

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

日本語にすると、ちょっとニュアンスが伝わりにくいかもしれませんが、
十のセンテンスから成り立つこの歌詞は、
すべて前半に例えば「passe」流れという単語に対して
後半に「passer」という動詞、
「embaume」香り、に対して「embaumer」香るという動詞が使われています。

そのまま訳すと妙な日本語になるので、訳は日本語を優先にしました。

完全版の日本語訳は、ぜひ当日、会場のプログラムをご覧下さい!!!

追記:
一番最初の「流れを見る」Le voir passer

一番最後の「過ぎゆかず」Ne point passer

は、母音の発音がまったく同じなのですね~

いろいろ隠されていて奥が深いです!!!