曲目解説_Wolf その4

さあ!
いよいよ!

田村靖子ソプラノリサイタル

は明日です!

Wolfの続きです。

最終3曲は怒涛のごとく歌いあげます!

12 Nr.43 Schweig’ einmal still,du garst’ger Schwätzer dort!

 


ちょっと黙ってよ、そこのむかつくおしゃべり屋!
あんたの苛立たしい歌が嫌なのよ。
明朝までずっと歌い続けても、
まともな歌にならないでしょう。
いいかげん黙ってよ、さっさと寝なさい!
ロバのセレナーデの方がまだましだわ。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

オペラでいうとカルメンのように歌います!

例によって分数は短いのですが、歌詞も多いしドラマも多いのです!

13 Nr.45Verschling’ der Abgrund meines Liebsten Hütte

 

奈落が恋人の小屋を呑み込んでしまえばいい、
その時、そこに湖の水が怒涛のように流れ込んでしまえ。
天は鉛の弾丸を注いで、
谷底には蛇が巣くえばいい。
その中で毒のある蛇が暴れて、
不実なあいつを毒殺してやれ。
毒で膨らんだ蛇が暴れて、
私を裏切ったあいつに死をもたらすがいい!

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

こちらはオペラで言うと夜の女王!

イタリア女って怒ったらコワ~イ!!

14 Nr.46 Ich hab’ in Penna einen Liebsten wohnen

 

ペンナに恋人が一人いるの、
マレンマ平野にも、もう一人いるし、
一人は美しい港アンコーナにいて、
四人目はヴィテルボまで行く必要があるんだけどね。
カセンティーノに一人住んでいて、
もう一人は同じ町の近くに住んでいるのよ。
また一人マジョーネにもいて、
ラ・フラッタには四人、カスティリオーネには10人いるの。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

こちらは、女性版ドンジョヴァンニ!

恋人がいる街をGoogleマップで確認したんですが、結構遠いです!

早口言葉で、1分しかないです(笑)。

でも、これを歌いたかったので、この曲集を今回選びました!!

まだ、当日券もございます

明日は、ぜひぜひ、リサイタルにお越し下さいませ~

皆様のお越しを心よりお待ちしております

曲目解説_Wolf その3

Wolfの続きです。

その1でもお伝えしたように、14曲も歌うのに時間は短いのです!
24分しかない!

あっと言う間ですが、いろんなドラマがあります。

着いて来て下さい!(笑)

8 Nr.25 Mein Liebster hat zu Tische mich geladen

恋人が食事に招いてくれたの
でも私を迎える家じゃ無かったわ。
煮炊きする薪や釜戸すら無かったし、
壺もとっくに割れていてたのよ。
ワインの樽も足りなかったし
おまけに使えるグラスすら無かったのよ。
テーブルは狭かったし、テーブルクロスは良くないし、
パンは石のように固いし、ナイフはまったく切れなかったんだから。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

なんやかんや文句を言ってますが、結局おノロケなのです。
はいはい、ごちそうさま!(笑)
って感じですね。

前奏がとても面白いですよ。

歌は、文句ばっかり言ってますが、ピアノの演奏をよく聞くとノロケていることがわかります!

9 Nr.39Gesegnet sei das Grün und wer es trägt!

 

緑とそれを身にまとう人に祝福あれ!
緑の服を作らせましょう
春の草地も緑の服を身に着けているわ。
私の瞳も緑で装っているものが好きだわ。
狩人は緑の服を着るのがならわしなんですって、
私の恋人も緑の服を着ているわ。
緑は愛らしいすべての物にふさわしいの、
どのきれいな果物も緑から熟していくものね。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

緑が大好きなんですね~
落ち着いた感じの可愛らしい曲です。

ちなみに、どの文節にも緑「Grün」が出てくるし、
服という名詞は「Kleid」着るという動詞は「kleiden」
覚えるのに少し苦労しました(^_^;)

10 Nr.40O wär’ dein Haus durchsichtig wie ein Glas 

 

ああ、あなたの家がガラスのように透明だったら、
愛する方、私がこっそり見ている時に!
そうすれば、家の中のあなたをいつも見られるのに。
どんなに心を込めてあなたを見つめたことでしょう!
どれほどあなたの心に視線を送ったことでしょう、
三月の川にある滴よりも多いほどです。
どれほどあなたに向けて視線を送ったことでしょう、
降り注ぐ雨の滴より多いほどです。

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

ストーカーの曲です(笑)。

ピアノが雨の滴を表現します。

特に盛り上がる場所もない曲なのですが、ず~っと雨が降り続いている感じなんですよ。

11 Nr.41Heut’ Nacht erhob ich mich um Mitternacht

昨夜、真夜中に起き上がると、
こっそりと私の心が抜け出していた。
私は尋ねた「心よ、そんなに急いでどこへ行く?」
心が言うには「ただ、あの人に会いたくて、抜け出したのさ。」
ほらご覧なさい、このように私の愛は抑えられない。
あなたに会うために、私の心は胸から抜け出すのです。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

そんな馬鹿な!!!

でも、この人は愛する人に思いを伝えるために必死です。

真夜中の感じと、熱い思いの曲なんです。

ぜひ会場でお聞き下さい!

やっぱり曲目解説になってない(笑)

残り3曲は明日です!!!

曲目解説_Wolf その2

Wolfの続きです。

4 Nr.11 Wie lange schon war immer mein Verlangen  

どれほど長い間待ち望んだでしょう、
ああ、音楽家の恋人が居てくれたらいいのに!
神様は私の望みを叶えてくれるって。
はつらつとした方をよこして下さるって。
ちょうど今ここへ来るわ、優しそうではあるわね。
うつむいて、ヴァイオリンを演奏しているわ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

Wolfならでは!面白い曲です。

神様にお願いしたら、素敵な音楽家がやってきた!!
あれ?なんか思ってたのと違う・・・
優しそうではあるけれど・・・あれ~?

しかもヴァイオリンめちゃ下手やし

下手~なヴァイオリンは、曲の後奏でピアノが弾いてくれます!

あれ~?あれ~?

と歌っています(笑)。

5 Nr.16 Ihr jungen Leute,die ihr zieht ins Feld    

戦場へ向かう若い人たち、
私の恋人に注意を払ってちょうだいな。
戦いの中で勇敢に立ち向かえるよう気遣って下さいね。
彼は今までの人生で合戦に出たことが無いのですもの。
野外で寝かしたりしないでね、
とっても繊細だから、参ってしまうわ。
月の下で寝かしたりしないでちょうだい、
彼は慣れていないから、くたばってしまうわ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

カワイイ彼氏が戦場へ行くのを心配している様子です。

昔の戦国時代の合戦をイメージしました。

庶民の古い民謡や民話を集めた曲集ならではですね!

6 Nr.19 Wir haben beide lange Zeit geschwiegen    

私たちは長い間黙っていました。
突然に言葉がまた戻って来たのです。
天使たちが空から訪れて
諍いのあとに平和を再びもたらしてくれました。
神の天使たちが舞い降りて、
平和と共にそっと入ってきました。
愛すべき天使は、夜のうちに来てくれて
私の胸に平和をもたらしたのです。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

これは、打って変わって壮大な感じの曲です!

合わせをしている時に長谷さんからアドヴァイスされました。

「シンフォニーホールで歌ってるつもりで演奏してみて!」

ヴォルフは時々このような、ワーグナー的な音楽があるんですね~。

7 Nr.24 Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr    

もう私は乾いた(涙に濡れない)パンを食べることはないでしょう、
トゲが私の足に刺さってしまいました。
むだに四方を見回してみても
私を愛してくれる人は見当たりません。
どんな年よりでも小男でもいいわ、
少しでも私を愛して敬ってくれる人はいないかしら。
つまり私が考えてるのは、姿の良い、
立派な老人、ほぼ私と同い年、
全部打ち明けちゃうと、
年をとった小男っていうのはね、14歳なのよ。

 

訳詞;田村靖子 無断転写を禁じます。

まあ、おませな14歳(笑)。

イタリア人の14歳は日本人だと20歳くらいの見た目でしょうか?

つまり、年寄りでもなんでも良いと言いながら、
同い年の素敵な人が良いんですね(笑)。

最後のオチでは、ぜひ会場で笑って下さい!

今回は、このWolfだけ、プロジェクターで字幕を出します!

話の展開が早いし、曲も短いので、お手元のプログラムだけではどこを歌っているのかわからないと思うので!

初めての試みです!!!

曲目解説_三善晃 その2

今回は、曲数が多いのに短い曲ばかりなので、分数が少ない!

てな訳で、日本の歌は「四つの秋の歌」以外に、聞きやすい曲をあと2曲歌います。

こちらも「四つの秋の歌」と同じ1963年に高田敏子さんによって作詞された

秋の風

かぜ かぜ かぜ
すずしい かぜ
どこから きたの?
とおい きたの くにから
うみを わたって きたよ
やまを こえて きたよ
そして それから
あかとんぼに のって きたよ

かぜ かぜ かぜ
あきの かぜ
なにして あそぶ?
みのむしと ぶらんこ
おちばと かけっこよ
こすもすと おはなし
そして それから
りんごの みも たべたいな

最後は三善晃ご本人作詩で、1975年に作られた

栗の実

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつは海へ行った 青い海
そうして 貝になったとさ

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつは空を飛んだ 青い空
そうして 雲になったとさ

栗の実なった
栗の実みっつなってころがった
ひとつはどこへ行った 見えないな
三年たったら 芽を出した

栗の実
栗の木になったとさ

この栗の実が歌いたくて、三善晃を選んだのですが、歌うのが難しい、、、

でも聞く分には、美しい秋の魅力満載の曲です。

日本の歌は、四季のレパートリーが豊富で美しいです!

ドイツリートは、圧倒的に春の歌が多く、
秋や冬の曲なんて、陰々滅々としたものばかりなんですよ、本当に!

ぜひ、秋のひと時をリサイタル会場にてお楽しみ下さい!!

曲目解説_三善晃 その1

今回のリサイタルで、日本語の歌は三善晃を歌います。

リサイタルでは、必ず日本語の歌を入れるようにしているんですよ。

日本の歌は、四季すべての歌が揃っていますから、その季節にあったものを歌うようにしています!

てな訳で、今回は「秋」です。

高田 敏子 作詩「四つの秋の歌」

これは1963年に作られました。

後に、女声合唱のための「四つの秋の歌」が編曲されて、1971年に発表されましたが、
独唱曲の方が先だったんですね~

夏休みを積みこんで
汽車は行ってしまった
がらんとした駅のホームには
カンナの花ばかりが赤く
少女は耳をすまして
次に運ばれてくるものを待っている

山すそのあたりに汽笛が鳴り
新しい季節が近づいてきた

少女たちは いつもこうして
何かを待ちつづける

忘れられた海

砂浜は
その面影をとりもどし
海は いま
青の色を深めている
すてられた麦わら帽子も
やがて波が洗い
沖へながれてゆくだろう

オフィスの窓辺で
小麦色の腕が
タイプをたたいている
あなたは しらない
あの麦わら帽子に
かもめの親子が
羽をやすめていることなど

林のなか

少女よ
あなたの隣には
だれもいない
けれど私には見えるのです

旅装をといたばかりの「秋」が
あなたのスケッチブックを
のぞいているのが・・・・・・

そして
あなたのハミングの
「赤とんぼ」をききながら
ここでしばらくやすんでいるのが・・・・・・

枯れ葉

枯れ葉が鳴っている
ほんの少しの風にもゆれて
ささやきあっている

でも こんなひそやかな会話に
耳をすますのは
早すぎる月日の流れに気づく
おとなたちだけだ

子供は枯れ葉をふんで
ドングリを集める
冬にかたむく日に
ほおをほてらせながら

ポケットをいっぱいにする
まわれ! ドングリのコマ

三善晃にしては、聞きやすい曲を選びましたが、まーーーピアノが難しい!!!

長谷さんごめんなさい(^_^;)

でも、さすがです、弾きこなしてくれています。

ぜひ、会場でお聞き下さい!!